040 喪失感

これ以上失う物はないと思っていた
毛布に包まれたこれは何？
なくしたものは僕自身
空っぽの身体が転がっている

039 切断

切れた糸を一つにしても
そこにしこりが居続ける

038 誓約

君の左手に誓います

037 スカート

ゆらゆら時折り不安定
危うい空気をはためかせ
白い足が大地を叩く

ふわふわいつも不規則に
揺れる乙女の恋心
長い足が空を蹴飛ばす

036 白い帽子

湖においてきた
白い帽子と
淡い思い出

035 シャボン玉

一瞬でも
輝いて飛んでいく
強さが好き

034 嫉妬

そんなココロの狭い女の子じゃないと思ってた
別に関係ないといい聞かせてた

でもでも嫌なの

他の女の子と話してるあなたが
楽しそうな顔してるの
あなたと話している女の子が
嬉しそうな顔してるの

ただの知り合いってあなたは言うけど
言い訳がましくて逆効果

わかってるの
わかってるんだけど

ココロがついていかないの

033 時間

止まることなく
垂れ流れ
終わることなく
湧き出してくる

僕の欲望と絶望と同じく

032 桜

淡く霞んだ空を見上げて
さびしい左手ポッケにしまった
小さな春がひらりと落ちた

031 紅玉

獲物を見つけた君の瞳が
ルビーのようにキラリと光る
視線を逸らせど噛み付く柔肌
僕を捕らえて離さない